水、燃ゆるとき(『お名前とタゴール・ソングスの夏の話』より)
青い炎の発光ダイオードが
ちらちらと揺れる
朗らかな日差しを懐かしむ
私たちはどこに 季節を置いてきた
生きていることがそら恐ろしくなるほど
あの五月の陽は美しかった
なみなみと注がれた ひかりのお水を
ただただ手のひらに 湛(たた)えては飲みほした
枯れることをしらない泉が
私を甘く満たしていた
幸いよ ひかりの粒よ
今 ひとたび
ここに舞い降りてはくれないか
私はこの身体(からだ)のすべてをうつわに
あの初夏の日を待っている
そして思い出すのだ
肺を、この身を、すべてをうるおす
すきとおった水が この胸の息吹に
燃ゆる様(さま)を
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