季節の変わり目

凍結防止の塩化ナトリウム、

胸に一握り撒く夜は

他の追随を許さない、

生命だけが語りかける。


「生まれたり、死んだり、

 いのちだから。

 君が消えてしまっても

 いちいち悲しまないから。」


名のみの春、冷たい雨。

窓越しに、何の歌も頭に響かない。

ただ雨粒がガラスを打つ音だけ。

そしていつか晴れた空に気化するだけ。


僕らは循環する。

いくつも乗換えを行いながら

寒空の下、待ち合わせている。

心凍らせぬため、塩化ナトリウム、

胸にはらはらと降らせながら。


はかなきトコシエ - 灰草 露 -

灰草 露の詩のノートです。

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