とわ
美しい町だけど、足りないものがあるよ
行ってしまった君の匂い、春風は不思議に温か
花散らす雨なら逢いたくないかもしれないけれど
消えてしまったもの、取り戻す旅だけれど
かけ算九九はややこしくって、子供たちは飽いてしまったよ
黒板の前は煙たいね。あの頃からそうだったよね
大切と思うもの、こぼさないよう一つずつ
丁寧に果実、刈り取るように一つずつ
それでも鋏は鋭く光って、切り口からは樹液が滴る
見ない振りをする 知らないふりしてる
黒曜石の瞳の色 わずかながらその黒を恨む
景色の色を吸い込めず、ありのまま思い出してしまう
おだやかな君の音 消えていく足跡
なぞるように靴を重ねる、それはきっと僕の癖
大切と思うもの、忘れぬよう一つずつ
丁寧にキーを叩くようにして一つずつ
そんなのスイッチを落としてしまえば終わってしまう
わからない振りをする 存ぜぬで通している
本当に本当に、本当に君に逢いたいなら
本当ならもっと、研ぎ澄ませなくっちゃね
大切と思うもの、置いていく一つずつ
丁寧に笑う、消えてゆくように一つずつ
儚いものに宿ると言ったじゃないか
儚いもの、好きだと
何よりも儚いあなたの、その言葉だけが確かな 永遠(とわ)
0コメント